Friday, August 15, 2008

戦争が終わった日

8月15日は、第二次世界大戦が終わった日、終戦記念日ですね。
そんな本日も、相変わらずこちらは良い天気です。

その戦争で、今私が住んでいる国は「勝った国」、私が生まれた国は「負けた国」。

この戦争に絡む記念の日に、各国民が違う視点で同じ出来事を語り継ぐのを見る事ができ、感慨深い、というのかそれとも興味深い、というのかなぁ、不思議な気持ちになります。


アメリカに引っ越してから、何回か終戦記念日を迎えましたが、日本のような習慣はなく、習慣がなければ忘れるもので、その日が終戦記念日ということを忘れて、その日も初めたばかりのゴルフの練習をしていました。
汗をかき心地よく疲れたところで練習を切り上げ、「練習後の冷たい一杯」で癒されたい思いで併設されているレストランに入りました。

入ると、なんとなくいつもとちょっと雰囲気が違ってました。
いつものように、おじいさんが二人、バーの後ろのテレビモニタに映ったビンゴゲームをしていて、バーテンダーのお姉さんは陽気にカウンターに座っている他の練習後のお客さん達に話しかけたりしてるのだけど、そのいつもの風景とは別に、いつもよりずっと多くのおじいさんおばあさんが皆きちんとお洒落して、そのレストランでビールを飲んだり楽しそうに話したりしていました。

「誰かの記念日か誕生日かなにかかなぁ」と、ぼーっと思いながら、ギンギンに冷えた生ビールを一口飲んで「っくーーーー!」とやっていると、横におばあさんとおじいさんがやってきて、同じように生ビールを頼みながらにこやかな顔で私に話しかけてきました。
オバアサン「日本人ですか?」
モモ「はいそうです」
オジイサン「今日は何の日か知っている?」
モモ「えーっと...」
オジイサン「戦争が終わった日だよ」

それからおじいさんとおばあさんは、この近くの山にある砲台の話や、パールハーバーの話、戦争でたくさんの人が兵隊に行った話、零戦の話、日本の兵隊の人達の話、国旗の話などなど、彼らが実際に見て経験した「地元の」戦争の時の話をしてくれました。
あまりにもリアルなのだけど、とても遠くかけ離れた世界の話に聞こえ、話してくれた事の詳細は思い出せないのだけど、頭の中にはっきり映像が見えてくるような不思議な感覚になりました。
怒りや恨みや悲しみなどは、私に対する彼らの口調には一切なく、どういう事が起きてどういう気持ちだったかをやさしく思い出すように淡々と語りかける、という感じでしたが、聞いていて自然と涙が出てきました。


母は、東京大空襲の時に疎開するという経験のある人で、昔、品川区にある、京陽小学校というところで小学生に戦争体験を話すために招かれたりしていました。
日本で数年前に、まったく逆の視点からこういう役目をしたんだと思うと、改めて母に対しても尊敬の気持ちが湧きます。


語り継ぐというのは、大切なことですね。

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